生成AI利用に対する私のスタンス
- Sigh2 さいふ
- 7月22日
- 読了時間: 6分
更新日:8月3日
イラスト制作において、生成AIの利用は近年ますます注目されています。多くの人間が効率化や新たな表現手段として取り入れる中、私は自身のスタンスを明確にしています。生成AIの原理や利用方法を理解した上で、創造性や著作権の観点から慎重に判断している理由をお伝えします。
生成AIに対する私の理解
生成AIは、LoRA(Low-Rank Adaptation)などの集中学習を行うデータセットや、権利者が認めていないデータを基に動作する基盤モデルが存在しています。
私個人、過去にpixivに掲載していたものがdanbooruといった無断転載サイトへ掲載、そのサイトに掲載されている画像がデータセットへ含まれていることも私自身の作品タグを検索してデータセット内で特定、把握しています。
生成AIを利用する方々の意見の中には、下手な絵はいらない等のお言葉を見かけることも多くあります。
そんな具合に人間同士が争うきっかけにもなっているツールですが、結局のところ膨大なデータから特定の要素を抽出し、指定した条件に沿って画像を生成する仕組みです。
そこには先ほどの例として挙げた「下手な絵」でさえもネガティブプロンプトといった除外要素として利用されており、過去の私の絵はうまいとはお世辞にも言えませんが除外要素の一データとしてデータセットにあることは否定できません。
生成AIは元から無許諾のデータで成り立っており、これまでネットを通して発信していたどこかの誰かの知的財産や声、写真であれば素顔に至るまで含まれているものです。
それらが本人の意思に反して参照、構成要素として利用されているものです。
あくまで過去の作品や素材の集合体からの再構築であり、完全な「創造」ではないと考えています。プロンプトで要素を絞り込んだり、不要な部分を排除したりする行為は、私にとっては単なるデータのフィルタリングに過ぎません。
描き手から見た生成AIの限界
イラスト制作は単に素材を組み合わせるだけではなく、対価を支払ってまで自身の絵に惹かれて依頼して下さっている事を前提に考えています。
依頼者様の望むイメージを汲み取り、より良いものに仕上げようとすり合わせる中で自身の持つ絵柄や解釈のクセといったオリジナリティをつけて仕上げることが、提供できる価値だと考えています。
生成AIは表面だけを見れば確かに便利なツールですが、私個人はそこに「自分だけの絵柄やクセ」を見いだせません。
例えば稜線の強弱や色合いであったり、構図の工夫などはクリエイターの経験や感覚、色覚が強く反映される部分です。
生成AIを利用して「プロンプトを記述する利用者のイメージ」に近いものを出力することはできても、独自の感性を細部に盛り込むことはできません。
むしろ細部の出力が可能になるほど、より膨大なデータを無許諾で取り込んでいるものと考えます。
だからこそ、私は生成AIを使って「作品を機械によって近いもので模倣し代替する」ことには否定的です。
無許諾データの参照に対する強い拒否感
先にも記述した通り生成AIが学習に用いるデータセットには、多くの場合無許諾の作品や素材が含まれていることがあります。
私のスタンスを決定づける理由の一つです。
生成AIは規約に構わず権利者が有する画像でさえも参照し、公式と誤認するものを出力することも確認しております。
作品タイトルのロゴや著作権表示、SNSに投稿する作家のサインなどが出力された例やクリエイター個人の絵柄を模倣するモデルがある以上著作権の侵害につながるリスクがあると考えており、心情としても絵柄を模倣されるモデルによって悲しむ作家が存在している以上、見て見ぬふりして便利なものだとは言えませんし、利用することで誰かを傷つけるようなこともしたくありません。
自分自身、過去にご依頼いただいた方に納品してきたイラストを生成AIを通して改変、絵柄を寄せたものを公開され依頼が途絶えるといった経験もあります。
そういった理由から強い拒否感を抱いているため、生成AIを使った制作はどの工程においても行いません。
生成物のサンプル提示と依頼対応について
私が生成AIを使わない一方で、依頼者から生成AIで作られたサンプルを提示されることがあります。
その場合、私は以下の条件を明確に伝えています。
出力画像内に含まれるフォントや写真、参照元が特定できる要素をそのまま再利用する依頼はお断りする。
著作権の観点から、無許諾の素材を含む生成物の直接的な利用は認めない。
自身が納品するデータを生成機能を持つツールに読み取らせることを認めない。
この対応は、依頼者の利益を守るためでもあります。
無許諾素材の使用はそもそも法的トラブルの原因となるため、生成AIの是非以前にリスク回避を第一に提案しています。
具体的な対応例
依頼者が生成AIで作成したイラストを「このまま使いたい」と希望された場合、私は以下のように説明します。
画像内に使われているフォントや写真が無許諾である可能性が高いこと。
絵柄やモチーフそのままの利用は著作権侵害のリスクがあること。
代わりに、私が手描きや正規の素材を使って新たに制作する提案。
このように、依頼者にリスクを理解してもらい、安心して使える作品を提供することを心がけています。
文字でさえもフォント制作者の作品でありそれぞれに規約が存在します。
顔写真や写真についても肖像権であったりカメラマンが権利を有する作品となり、複雑なものです。
納品作品に疑いがかけられた場合の対応
手描きと偽って活動する方の存在もあり、生成AIに同じく忌避感を持つ方によって制作過程やレイヤー公開を求めるケースも把握しております。
そうした流れで万一自身が納品するイラストで依頼者様に問い合わせがあった場合、可能な限り録画を行い制作過程を残しております。
主な制作環境がSAIでタイムラプスが撮れないことから、制作中の塗りやレイヤー結合のようすなど手描きである情報の保全に努めています。
もし必要であればいつでもお問い合わせください。
まとめと今後の展望
私の生成AI利用に対するスタンスは、創造性の尊重と著作権の保護を軸にしています。
生成AIは技術的には興味深いものの、無許諾データの利用や創造性の欠如、他者を傷付けかねないものであるという課題があるため、現時点では使わないことを明言しています。
クリエイターとして責任を持ち、依頼者に安心して使っていただける作品を提供することが最優先です。今後も技術の進化を注視しつつ、倫理的な視点を大切にしながら制作活動を続けていきます。
